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2016年10月11日 (火)

国家戦略特区 外国人労働者家事支援について 産業労働常任委員会で議論

 10月11日(火)の産業労働常任委員会で、外国人労働者家事支援について意見を述べました。その内容は下記のとおりです。
 時間の制約から、論点を絞らざるを得ませんでしたので、これに先立つ10月3日(月)の産業労働常任委員会での質疑応答の概要と、この問題についての全般的意見をまとめたものを添付します。
  この問題について、広範な議論を呼びかけます。

<10月11日(火)の産業労働常任委員会で述べた意見>

  次に、報告事項Ⅷ「外国人家事支援人材の活用について」です。

  外国人による家事支援サービスが、この11月にも始められようとしています。国会審議その他で様々な問題点が指摘されてきた施策です。具体的な制度運用の一つとして、特定機関に認定された受入企業は、「外国人家事支援人材の住居の確保」が義務づけられましたが、居住水準について神奈川県第三者管理協議会が策定した『宿舎費ガイドライン』の基準は、きわめてあいまいであり、ある面では、神奈川県の「無料低額宿泊事業に関するガイドライン」よりも不十分です。

 そして、『宿舎費ガイドライン』では、「備品故障時の修理費用負担や退去時の原状回復費用…など、帰国までに発生が見込まれる各種経費に関する負担割合について、事前に取り決めておくこと」が義務づけられていたにもかかわらず、この間、特定機関・受入企業においては、そうした取り決めをしていなかったことが確認されました。もう既にルールどおりに制度が運用されていないということであり、重大です。

 今後、実際に外国人労働者が日本に来て、家事援助サービスが開始されると、ルールが守られるように責任を持って監視・指導するのは、国の諸機関と神奈川県とで構成される神奈川県第三者管理協議会ということになるようです。しかし、その活動ぶりは、定例の会議もなく、特定機関・受入企業を1年に1回監査をするという程度です。会議の公開も考えていない、と答弁されましたが、問題です。

  この「外国人家事支援人材の活用」という施策は、様々な問題を伴うことは明らかであり、実際の事業展開の状況を広く国民・県民に公開し、国民的・県民的な議論をおこすべきと考えます。神奈川県第三者管理協議会の構成メンバーが行政関係者のみであることを改め、弁護士や労働関係者、学者など、第三者が参画すべきと考えます。見直し、改善を求めるとともに、会議は公開とし、その案内を県としても独自に、広くわかりやすくおこなうことを求めます。

  そもそも、この施策が、「女性の社会進出の拡大」に役立つのでしょうか。外国人の「報酬額は、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上」と定められたなかで、かなりの経済力のある家庭でなければ利用できない、多くの女性の社会進出に役立つとは思えない、という指摘が当委員会でも複数の会派・委員からされました。

  さらに、なぜ家事支援に外国人労働者を活用するのか、理解できません。

  県は、国家戦略特区の提案書において、「活用する規制改革事項」として、「技能実習の職域への“家事支援”の追加」と提案しています。しかし、外国人技能実習生をめぐっては、送り出し国において保証金の徴収や違約金契約を結ばされ、また違約金契約に保証人を付けることによって、また渡航費のための借金を背負うなかで、日本での権利の主張ができなくなり、実習生の人権が侵害される、こういうケースが多く報告されています。対策が講じられても、なかなか実効性を持たず、こうした問題は依然として未解決のままです。それなのに、なぜ県は、「技能実習の職域への“家事支援”の追加」などと提案できるのでしょうか。安易であり、軽率であります。

  この施策の必要性の根拠については、家事支援サービスについて「ニーズがある」がその一方で「人が足りない」ということ、そしてそのことを、事業者からの聴き取り調査で確認したということが挙げられています。しかし、なぜ日本人労働者が確保できないのか、分析をし課題解決の方策を講じないまま、外国人労働者の導入に走ることは、正しくないと考えます。

  家事支援という分野は、労働基準法第116条2項において、家事使用人が労基法の適用除外となっていますが、労働者がサービス利用者に直接雇用されるのでなく、サービス提供会社が労働者を雇用して利用者と請負契約を結びサービスを提供する、というかたちをとることで、家事支援を提供する労働者にも労基法が適用されることになっています。

  しかし請負契約だと言っても、現場で利用者から直接指示を受ける、偽装請負のような事態が生じないと言い切れるでしょうか。そしてそんな時に外国人労働者は、自由に会社にモノが言えるでしょうか。本国から異国の日本に出稼ぎに来ている外国人労働者は、雇用が切れれば、住まいも失ってしまう、いやそれどころか、本国に帰らなければならなくなってしまうのです。きわめて立場の弱い外国人労働者を、労基法の適用が除外されている家事労働、家事支援の場に投げ込むことは、適切ではなく、やめるべきと考えます。この事業については、考え直していただきたくよう、求めます。                          以上です。

<10月3日(月)の産業労働常任委員会での質疑応答の概要>
※答弁趣旨は、藤井のメモと記憶により記載したものです。正確な答弁は、後日(議事録の作成と県議会ホームページへのアップまでに時間がかかり随分後になってしまうことは問題なのですが…)、県議会ホームページの会議録で確認していただければ幸いです。

 国家戦略特区 外国人労働者家事支援については、重大な問題と考えており、趣旨その他根本的な問題について議論をしたいが、11月にも実際にサービスの提供が始まる可能性がある、というなかで、議論の順番が後先になるが、まず具体的な制度運用から質疑をして、時間の許す限り、根本的な議論をおこないたい。

●「報酬額は、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上」とのことだが、どうなっているか。
【答弁趣旨】
  「1日6時間月20日勤務で月額121200円~142800円」

●特定機関(受入企業)は「外国人家事支援人材の住居の確保」が義務づけられているとのことだが、居住水準等については定めがあるのか。
【答弁趣旨】
 神奈川県第三者管理協議会が定めた『宿舎費ガイドライン』により、「外国人家事支援人材から宿舎費を徴収する場合には、1人あたりの専有面積が社会通念上相当とされる程度の面積を有していることに配慮」するとある。
 特定機関(受入企業)4社からの申請によれば、1人あたり5㎡~10㎡で、2人部屋もある。

●何により確認したのか。賃貸契約書等で確認しているのか。
【答弁趣旨】
  まだ外国人従事者が実際に住宅の賃貸契約が締結されていないので、契約書はまだない。特定機関(受入企業)から、「こんな契約を結ぶ予定」というものを示してもらい、その内容で確認した。

●『宿舎費ガイドライン』では、「4 外国人家事支援人材への宿舎貸与にあたっては、備品故障時の修理費用負担や退去時の原状回復費用……など、帰国までに発生が見込まれる各種経費に関する負担割合について、事前に取り決めておくこと。」と定められているが、貧困ビジネスで悪用されてきた部分であり、「事前に取り決めてお」けばそれでよいのか。
【答弁趣旨】
 特定機関(受入企業)4社が示した雇用契約書の案文には、そうした取り決めはない。

●家事支援業務の範囲について、国会でも、「従事者の専門性が求められる保育や介護の分野に“外国人家事支援”が広げられ、事故やトラブルが起こる可能性が高い」ことや、保育や介護の制度に様々な影響を及ぼす懸念などが指摘された。
 保育とのかかわりでは、「児童の日常生活上の世話及び必要な保護」も含むとされ、
「炊事、洗濯、掃除、買物等の家事一般」と併せておこなわれる「児童の日常生活上の世話及び必要な保護」に限るとされているが、それが歯止めになるのか。
 国の政令解釈通知において、「保育所等における保育の代替として実施されるようなものは、“併せて実施される”とは解されない」とあるが、どういうことか。また誰がどのようにチェックし、判断するのか。
【答弁趣旨】(確認できず)

<この問題についての全般的意見をまとめたもの>
 ※これを要約して産業労働常任委員会で意見を表明したので、先に紹介した内容とダブル部分があります。

  賃金水準については、「外国人労働者を安上がりに使うものではない」ということで、「報酬額は、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上」と定められましたが、この事業をおこなおうとする企業が特定機関として認可される時に示した賃金額の例として、「1日6時間月20日勤務で月額121200円~142800円」と答弁されました。ここから、家賃や高熱水費など諸経費が支払われていくわけですが、時給に割り返すと、「1010円~1190円」となります。日本人労働者との比較を含めて、賃金、報酬額について定期的に公開し、その妥当性について、広く議論されるべきと考えます。また、不当な天引きなど行われていないかどうかを含めて、第三者機関が定期的にチェックをすること、特に匿名を約束したうえでの外国人労働者への直接の聴き取り調査をおこなうことが重要であると考えます。

  また、「個人家庭に住み込みで働くことはさせない」と、特定機関に認定された受入企業は、「外国人家事支援人材の住居の確保」が義務づけられましたが、居住水準については、神奈川県第三者管理協議会が定めた『宿舎費ガイドライン』の定めは、「外国人家事支援人材から宿舎費を徴収する場合には、1人あたりの専有面積が社会通念上相当とされる程度の面積を有していることに配慮」するとあるだけです。

 家賃を徴収する場合に適用されるガイドラインということなので、家賃を徴収しない場合には守るべき最低基準はない、“家賃を徴収しないでタコ部屋に大勢を詰め込む”ということは禁止されていない、とも読めてしまいます。

  神奈川県の「無料低額宿泊事業に関するガイドライン」の設備基準では、「1居室1世帯とし、居室の広さについては、収納設備を除き、1人当たり7.43㎡以上とすること」「居室はプライバシーが守られるよう、硬質の壁で区切られている完全な個室とし、かつ、採光、照明、換気など独立した生活を営むにふさわしい設備を整備すること。」などと定めています。これに比べて、『宿舎費ガイドライン』の定めは、
きわめて“あいまい”であり、実際、受入企業の申請内容は、二人部屋もあり、1人あたり5㎡(2.23m×2.23m)の部屋もあるとのことです。きわめて低い居住水準ではないでしょうか。

  さらに、『宿舎費ガイドライン』では、「4 外国人家事支援人材への宿舎貸与にあたっては、備品故障時の修理費用負担や退去時の原状回復費用……など、帰国までに発生が見込まれる各種経費に関する負担割合について、事前に取り決めておくこと。」と定められていますが、この修理費用負担や退去時の原状回復費用の負担は、貧困ビジネスで悪用されてきた部分です。「事前に取り決めておくこと。」と定めるだけでは、労働者を守ることはできません。ところが、特定機関・受入企業が示した住宅の契約には、その取り決めが含まれていなかったことが、明らかになりました。もう既に、不十分な『宿舎費ガイドライン』でさえ守られていない実態が明らかになったのです。

  遠い異国から、出稼ぎに来た外国人労働者は、特定機関・受入企業との雇用関係と一体に、住居を提供されるのです。個人家庭への“住み込み”ではありませんが、もともと住まいを持つ日本人であれば生じない、外国人ならではの実質的“住み込み”労働です。これほど弱い立場はありません。雇用が切れれば、住まいも失ってしまう、いやそれどころか、本国に帰らなければならなくなってしまいます。

  外国人労働者の側から、勤務先の特定企業・受入企業を移動する、転職する、ということも、認められてはいるようですが、実際可能なのか、疑わしい限りです。公的機関がよほどゆきとどいたサポートをしない限り、困難であると考えます。

 この「外国人家事支援人材の活用」という施策は、あえてそうした弱い立場で家事援助に従事する外国人労働者を創り出すもの、と言わざるを得ません。

 また、家事支援業務の範囲について、国会でも、「従事者の専門性が求められる保育や介護の分野に“外国人家事支援”が広げられ、事故やトラブルが起こる可能性が高い」ことや、保育や介護の制度に様々な影響を及ぼす懸念などが指摘されています。しかしこの点での歯止めとなるべき基準は、「炊事、洗濯、掃除、買物等の家事一般」と併せておこなわれる「児童の日常生活上の世話及び必要な保護」に限る、とか、「保育所等における保育の代替として実施されるようなものは、“併せて実施される”とは解されない」とか、きわめてあいまいなものであり、実効性が疑われます。

 今後、実際に外国人労働者が日本に来て、家事援助サービスが開始されると、ルールが守られるように取り組み責任を持つのは、国の諸機関と神奈川県とで構成される神奈川県第三者管理協議会ということのようです。しかし、その活動ぶりは、定例の会議もなく、特定企業・受入企業を1年に1回監査をするという程度です。会議の公開も考えていない、と答弁されましたが、問題です。

  この「外国人家事支援人材の活用」という施策は、様々な問題を伴うことは明らかであり、実際の事業展開の状況を広く国民・県民に公開し、広く国民的・県民的な議論をおこすべきと考えます。神奈川県第三者管理協議会の構成メンバーが行政関係者のみであることを改め、弁護士や労働関係者、学者など、第三者が参画すべきと考えます。見直し、改善を求めるとともに、会議は公開とし、その案内を県としても独自に、広くわかりやすくおこなうことを求めます。

  そもそも、なぜ家事支援に外国人労働者を活用するのか、理解できません。
 「女性の社会進出の拡大」のために、なぜ外国人家事支援人材の活用なのか。他にも様々な方策があるはずなのに、いくつかの方策のなかで、検討した結果として、外国人家事支援人材の活用が最も有効だ、と絞り込んだというような検討経過がまったくみえず、ただ「選択肢が増えるのは良いことだ」というだけです。

 2014年10月1日付けの神奈川県が示した提案書において「活用する規制改革事項…技能実習の職域への“家事支援”の追加」とありますが、外国人技能実習生をめぐっては、送り出し国において保証金の徴収や違約金契約を結ばされ、また違約金契約に保証人を付けることによって、また渡航費のための借金を背負うなかで、日本での権利の主張ができなくなり、実習生の人権が侵害される、こういうケースが多く報告されています。対策が講じられても、なかなか実効性を持たず、こうした問題は依然として未解決のままです。それなのに、なぜ県は、「技能実習の職域への“家事支援”の追加」などと安易に提案できるのでしょうか。

  この施策の必要性については、家事支援サービスについて「ニーズがある」「人が足りない」ということを、事業者からの聴き取り調査で確認したということが根拠として示されています。神奈川県民にニーズがどれほどあるのか、を把握するという点でも調査結果は不十分であると感じておりますが、「人が足りない」ということについては、なぜ日本人労働者が確保できないのか、分析をし、課題解決の方策を講じないまま、外国人労働者の導入に走っていることは、軽率であり、問題です。

  なぜ日本人労働者が家事支援という分野に集まらないのでしょうか。労働基準法
第116条2項において、家事使用人、家事支援が労基法の適用除外となっていることを想起する必要があります。個人家庭という場所、環境は、家事支援というかたちでそこで働く労働者の権利を守ることがきわめてむずかしい、という問題があるのです。そのことの是非について、「家事使用人であれば労基法を適用しなくてもよいという70年前の立法政策を今日なお維持し続ける理由があるのか」などの議論が起きています。一方で、近年、国際的な動きとして、家事労働者を労働者と認定し、その労働条件改善を目指す初めての国際基準であるILO条約第189号条約(家事労働者条約)が2011年6月16日にILO総会で採択されました。日本政府はまだ批准していません。

  家事支援サービスの需要が増えている一方で人材供給が追いつかないというなら、まず家事使用人、家事労働従事者の労働条件や権利の保護をめぐる法整備について、日本社会としてどう考えるか、国の問題として深く検討がなされるべきなのに、それ抜きに、「人材が足りないから外国人を」というのでは、あまりにもお粗末、軽はずみとの批判を免れません。

  家事使用人、家事支援という分野が労基法の適用除外となっているなかで、労働者がサービス利用者に直接雇用されるのでなく、サービス提供会社が労働者を雇用して利用者と請負契約を結びサービスを提供する、というかたちをとることで、家事支援を提供する労働者にも労基法が適用されることになっています。

  しかし請負契約だと言っても、現場で利用者から直接指示を受ける、偽装請負のような事態が生じないと言い切れるでしょうか。そしてそんな時に外国人労働者は、自由に会社にモノが言えるでしょうか。本国から異国の日本に出稼ぎに来ている外国人労働者は、雇用が切れれば、住まいも失ってしまう、いやそれどころか、本国に帰らなければならなくなってしまうのです。きわめて立場の弱い外国人労働者を、労基法の適用が除外されている家事労働、家事支援の場に投げ込むことは、適切ではなく、やめるべきと考えます。この事業については、考え直していただきたくよう、求めます。                          

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